あしたのひかりTwilight Daylight

ここではない場所の写真、keep unchange,keep change

日本の新進作家Vol17

@東京都写真美術館

こんにちは, matsumoto takuya です。今回は東京都写真美術館で開催中の「あしたのひかりTwilight Daylight 日本の新進作家vol17」をとりあげます。

この展覧会は、サブタイトルにあるとおり、日本の新進の作家を特集した展覧会で、5人の作家が特集されています。5人の撮影スタイルはそれぞれ異なっていて、写真といえども表現にこれだけのヴァラエティーがあるものなのかと驚かされます。主張がつよい広告にかこまれている生活をしていると、写真について地味な印象をうけてしまいがちですが、この展覧会には既存の写真美術から「解放」や「前進」をしていくエネルギーや、変化することへの認識が深まる展覧会となっていました。

菱田雄介氏「border」の展示が特に素敵でした。おもに異国の人物の写真が展示されているのですが、人物の表情がとても自然で、異国の地に生活する全く知らないその被写体の人物に親近感を覚えるほどのいい表情が映されていました。特に展示番号no.8「Loves Island,Greece」の少女の驚きと喜びが混じった表情は、こちらの心まで一瞬輝かせてもらえた気がしたほどです。この一枚だけでもこの展覧会に足を運んだよかったと思える素敵な写真でした。

あしたのひかりTwilight Daylight公式サイト

ところで、写真をつかった様々な表現の作品を見ていると、そもそも写真美術のもつ働きってなんなんだろうという疑問がわきます。普通わたしたたちは写真をアルバムのような記憶を忘れない手段として用います。しかし、美術的な写真にはそれとはちがった要素を感じます。この謎を今回特集されている注目株の5の作家の展示と言葉を手掛かりにして、ささやかながら探求してみたいと思います。

「写真」とは一体何なのか

大人になった今でも————————–

「ここではないどこか」にこころ踊る

赤鹿摩耶:インスタラクションより引用

今回展示の作家、赤西摩耶氏の展示の中でこのような言葉をみつけました。写真をみていいな思うとき、確かに「ここではないどこか」であることが多い。人物の写真についても大概は建物や場所といった風景を背景にしています。人物だけであっても、どこかしら非日常的な、もしくは日常では稀な不思議な美しさが表現されています。

写真と「ここではないどこか」というキーワードはどうも深い関係がありそうです。頭のなかでもやもや考えながら展覧会を回っていると、菱田雄介氏の展示コーナーでこんな言葉を見つけました。

”人類が最初に発明したのは言葉ではなくて地図であった”

菱田雄介氏の展示作品紹介より引用

ここでかなり短絡的ではありますが、「写真」とは地図なのだなということをひらめきました。地図を私たちが眺めるときは、見知らぬ土地に旅をしたり引っ越したりするときです。そこには一抹の不安とそれ以上のわくわく感が胸に宿ります。冒険的な要素を感じているとも言えます。

わたしたちの生活は、年を取るにつれて様々なことに慣れていき生活が楽になってきます。その分、未開の地へ冒険するようなわくわく感は減っていき、変化するものは減っていき、時間がたつ感覚も加速してきます。しかし、いくつになっても未知なるものを知りたいという知的欲求はあるわけで、見知らぬ土地の地理情報が多くふくまれた表現である写真は、その欲求をくすぐるわけです。

展覧会を一回りして最初の展示されている岩根愛さん映像作品(no.23)をもう一度鑑賞していると、「諸行無常」とい言葉の肯定的な面、詳しく説明するなら、”変化することは希望や成長することでもある”というメッセージです。変化することは大切な物であるなら、なおさら喪失感を抱き悲しくなりますが、変化の裏の側面は創造の母なわけです。

それで、結局「写真」とは何なんだ?

写真とはわたしたち思い出の保存という変化を拒む要素と、同時に「ここではないどこか」未知なる場所に向けて探求したいという変化を肯定する要素という、全く別のベクトルを持った不思議な道具だということです。こう考えると、写真とは矛盾をはらんだ人間存在にもってこいの道具だったわけです。

うーん、、、奥が深いですね。誰でもボタンを押せば撮れる写真、この写真に多くの大人・子供が魅了されのめりこむわけが少し垣間見れたような気がしました。

以上、「あしたのひかりTwilight Daylight 日本の新進作家vol17」展についてでした、お付き合いありがとうございました。

「あしたのひかりTwilight Daylight 日本の新進作家vol17」展

[期間]2020/2/28(火)~9/22(火・祝)

[会場]東京都写真美術館2F

[時間]10:00~18:00

[主催]公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館、東京新聞

[助成]芸術文化振興基金

[協賛]東京都写真美術館支援会員

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