「オラファー・エリアソン」展

東京現代美術館からの風声

ときに川は橋となる

@東京現代美術館

こんにちは、matsumoto takuya です。今回は東京現代美術館で開かれている「オラファー・エリアソンーときにに川は橋となる」展をとりあげます。

光のインスタレーションが特徴的な展覧会で、そのほかにも、ドローイング、彫刻、デザイン等々とても幅広いオラファー・エリアソンの作品が楽しめる展示となっていました。

全体として、とてもスタイリッシュな世界観で都会的な洗練されたアートといった印象をうけました。科学実験をしているときの楽しさがありながら、かれのアート作品を通してもう少し先のテーマに導かれるような経験ができ、子供から大人まで、家族でおとずれても一人で訪れても退屈しない展覧会だったと思います。

「オラファー・エリアソン」展公式サイト

今回は、この展覧会は展示アイテムが多いのですが、その中で印象にのこった作品を紹介していきます。

以下、一部内容をふくみます。

動くことへの肯定

書き手が装置を持った手を動かし空中で動かすことで、光のドローイングが描かれていく仕組みの参加型インスタレーション。この作品からは、動くことの肯定がテーマとしてみえてきます。

大学生らしきカップルの参加者の「光のドローイング」を見ていた時に、参加者の個性や自信の深さが如実にでるものだなと思いました。無難な動き、小さい動きになると、光のドローイングもつまらなくなる。まるで彼らの内面が露わになったようでした。また、同じ無難な動きの中でも、結構ふたりの間で違いがあるものだなということにも気が付きます。

カップルの次に、小学生前の子供たちが光のドローイングを体験したのですが、子供はほんとに表現がみずみずしいなと改めて気づかされました。まるで、ダンスをおどっているようで、描かれ光の線おなじくらい彼らの表現しているさまはキラキラしていました。普段仏頂面の私ですらほほえましくなったくらです。もしかしたら、この展覧会でみた一番は、オラファー・エリアソンの作品ではなくて彼らの表現している最中の姿だったといえるかもしれません。

動くことで、変化がうまれ気が付ける

”あなたが動いているときにだけ物事がみえる”

「オラファー・エリアソン」展:解説より一部引用

動きについてのインスタレーションをもう一つ紹介します。no.6 の展示はカラーライトの前を動き回ると色のついた影が変化していき、動くことで色彩と影の輪郭の変化が楽しめるインスタレーションだったのですが、動くことで色彩の心地よさを経験できるこのアートは、保守的で保身のために同じところに留まりがちなわたしを鼓舞してくれてくれるようで、なんだか嬉しくなりました。

わたしは、楽しいと思えるものがなかなか見つからないたちなうえに、多数派の流行を愚直に信じられるないタイプなので、自ら動いて探さなくてはならない。にもかかわらず、地球の重量がフルにかかっているがごとき腰の重い人間です。なので、かれのアートは励ましのように感じられたのでした。

生きている感じは、動きの中で見えてくる

no.12 の展示は生き物が生きていることとはどういう状態に感じ取れるのか、ということを教えてくれるインスタレーションでした。水面が動くときに、その水面に映った無機質な光は、まるで軟体生物のクラゲのような生き物を見ているようで,生き物の生とは「絶えず変化しつつ徐々に広がるさざ波のような状態である」ということが実感できるアートでした。「生」の本質はたゆたわせるような生き方なのだ水面の美し動きから感じ取れる素敵な経験でした。

とりあえず、生活はできてるけど、どこかはりがない、なにか肝心なものが欠けてるような気がすると感じている方には、おすすめの展覧会ではないかとわたしは思います。動くことを、楽しさで鼓舞してくれる展覧会でした。

以上、おつきあいありがとうございました。

「オラファー・エリアソンーときにに川は橋となる」展

[会期]2020年6月9日(火)~9月27日(日)

[会場]東京現代美術館

[休館日]月曜日(9月21日は開館)、9月23日

[開館時間]10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)

[主催]公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館、産経新聞社

[後援]駐日アイスランド大使館、デンマーク王国大使館

[協賛]]クヴァドラ、ブルームバーグL.P.、株式会社ジンズホールディングス

[助成]スカンジナビア・ニッポン ササカワ財団、公益財団法人大林財団

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