「大江戸歳事記」展

隅田川両岸景色図巻(複製画)と北斎漫画

@すみだ北斎美術館

こんにちは、matsumoto takuya です。今回は墨田北斎美術館で開催中の「隅田川両岸景色図巻(複製画)と北斎漫画」及び「大江戸歳時記」展をとりあげます。

”北斎の肉筆画の中で最長”(展覧会より引用)とされている「隅田川両岸景色図巻」。全長約7mに及ぶ本作の複製画”」すみだ北斎美術館公式ホームページより引用)が今回の展覧会の目玉で、絵巻物なら広々とした横断的な視点で北斎が見た江戸の空間を隅々まで見渡すことができる作品は感心させられました。

また「大江戸歳時記」展では、北斎が描く浮世絵は庶民の視点で季節の行事、風物、風景が北斎特有の世界観で描かれた浮世絵を堪能でき日本人の古典を再発見できる展覧会でした。

「大江戸歳事記」展公式サイト

この展覧会をみていくと、なぜ私たちが外国人から見ると同質的に感じられるのかといったことが見えてきました。今夏はこの謎を探っていきたいと思います。

歳時記と共同性と時代の変化

見ていて気が付くのは、それらの3分の2は現代の私たちの生活から消えたか形骸化してしまっているということです。節句、仏事、祭りなど今もあるのではないかと思われる方がいるかもしれませんが、真剣さがちがうのです。歳時に執り行われる行事のその意味のために行うのと、こころあらずに型どおりに行事を行うのでは、その行事からえられる内容は変わってくるということが言いたいのです。

北斎の絵を見ていると、節句での四季の変化を喜ぶ、季節の旬の食材を味わっている姿、仏事をする人々の姿がとてもいきいきしていることがみてとれます。祭りでの、日々の憂さを晴らす様や打ち込みむ姿からは狂気にもにた熱気がありますし、季節の行事のおおくは仏事であり、宗派のちがいはあれど大体の人が仏様を尊敬するか、一応の礼儀は尽くしてる信仰深さがよくわかります。

こうやって見ていくと、かつての日本人は、本当に共通の生活行事、年次、信仰信、それにともなう価値観を共有していることがはっきりとわかりますかつての日本人は、生活の必要性から生活レベルで季節において共同行事を行ってきました。その生活習慣が共同意識強めてくれていたのです

カナダ人のエピソードと日本人に残る文化的特質

話はすこし飛びますが、わたしがカナダに語学留学したときの臨時講師のカナダ人が、日本の山陽地方を訪れ禅の経験をしたときの話をしてくれたことがありました。彼はお寺がある村に泊まり、議会のようなものに一緒に参加させてもらった時、議題が説明たあとあまり活発でない議論があった後に村長が一言「、、、うむ」とひとこといったら、議論が急におわり議案が落着したのをみて驚いたそうです。同じ価値観を実生活の行事、信仰行事によって習慣づけられていて、同じ価値観を共有していたときのかつての阿吽の呼吸のようなものがまだ30年ほど前まではの地方の村落にはのこってたことを物語るエピソードだと思います異なる価値観の人々が共存し、意見を出し合う中で解決を図る社会でいきてきたカナダ人には奇妙に映ったのです。

今の日本は確実に、価値観は多様化してる中で、かつての人々を「同じものだ」と実感させていた共通の年行事はますます形骸化していっています。今を生きるわたしたちは、昔の日本人の美徳をそのまま当てはめることはできなので、少し不安定な足場の上にいるのだと改めて考えさせられました。

北斎の浮世絵の秀でた点は、彼がこういう江戸の庶民の仕草や表情がとても味わい深く丁寧に描かれている点だと思います。これは私の想像なのですが、彼は、人が世界がとっても好きだったのではないでしょうか。だからこそ、生活を味わい深く描ける。北斎づくしの展覧会でふと、そう思ったのでした。

以上、おつきあいありがとうございました。

「隅田川両岸景色図巻(複製画)と北斎漫画」及び「大江戸歳時記」展

[主催]墨田区・すみだ北斎美術館

[会場]すみだ北斎美術館

[会期]「隅田川両岸景色図巻(複製画)と北斎漫画」2020年2月4日(火) 〜 2020年11月8日(日)「大江戸歳時記」2020年6月30日(火) 〜 2020年8月30日(日)

[開館時間]9:30~17:30(入館は17:00まで)

[休館日]毎週月曜日:※開館:8月10日(月・祝)休館:8月11日(火

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