Updated on 1月 9, 2021
OKETA Collection 2020
目次
A NEW DECADE
@spiral
こんにちは、matsumoto takuya です。今回は青山にあるspiralで開かれた「OKETA Collection 2020」をとりあげます。
*当展覧会最終日に偶然見つけたので、このブログが掲載されているころには展覧会自体は閉幕しています。「OKETA Collection」は毎年開催されているそうなので展覧会の雰囲気だけでも紹介できればと思っています。
このギャラリーは、前もって知っていた展覧会ではなく、用事があってたまたまいった渋谷の夕方にぶらついていたら見つけた展覧でした。現代芸術界で高い評価をされている世界中のアーティストのアートを堪能できるものとなっていました。なんでも、展覧会のタイトルにある「OKETA」というのはファッション界で活躍する桶田夫妻というご両人のことで、彼らが集めた現代アートを定期的に一般に無料で公開している活動が「OKETA Collection]なのだそうです。
展示されているアーティスト名を挙げると、ゲルハルト・リヒター、ルビー・ネッリ、オスカー・ムリ―リ、ロッカク・アヤコ、草間 彌生、名和晃平、村上隆等々、とても貴重な顔ぶれのような気がしました。わたしは、あまり詳しくないのですが、作品をみるかぎりとても面白い貴重な作品が少数精鋭で展示されているといった印象でした。
会場は国連大学、青山学院大学がある国道246号沿いにあり表参道駅が最寄でした。展示空間は仕切りのないスパイラル一階フロアを都会風のカフェと並立して貸切った空間となっており、ビルの中とはいえ、とても優雅な雰囲気漂う会場でした。立地と当ギャラリーがとてもよくマッチしているといった感じです。青山は六本木にくらべ、都会でありながら緑が配置され空が広く感じられる街並みですが、この青山という街の特徴と現代芸術相性がいいことに気づかされます。
わたしは、展覧会に足を運ぶようになり、「STARS展:現代芸術のスターたち—日本から世界へ」展と、「MERCWDES-BENZ ART SCOPE」展などで主に日本人の現代アートはじっくり見れていたのですが、そろそろ海外の現代アートもみたいなと思っていたところ、この展覧会では海外のアーティストのアートも見ることができてとても幸運でした。
*どちらも、2020年8月12日現在、開催中の展覧会です。これらについて取り上げた記事はこちら、「STARS展」、「メルセデス・ベンツ・アートスコープ2018-2020」展
アートと出会うのベストなシチュエーションとは
わたしは、たまたま表参道から渋谷へ歩いているときにこの展覧会をみつけ、足を踏み入れました。この、「たまたま偶然に出会った」ギャラリー、そこに展示されている作品との出会いは、あらかじめ知っていたり計画をたてていった展覧会での作品との出会いとはくらべものにならないほど、好ましいものだなと思いました。とても身軽な気分でいられるのです。前もって調べた労力、予定という名の拘束された時間がないため、作品にたいして、変な期待をかけないですんだからです。「期待をかける」ことは二面性を含んでいるように思います。行動する動機にもなるのですが、自分以外の人や物に向けられると多くの場合は、思いどおりにならずもやもやする結果をもたらすことが多いからです。
この偶然見つけた展覧会にぶらっと立ち寄ったことで、「期待」がない分、作品がピンと来なくてもがっかりしないし、いい作品と出会えればラッキーだと素直に思える。じつは、このシチュエーションこそが展覧会で作品と出会う最高のコンデションなのではないでしょうか。
レアな海外アーティストのアート
ところで、わたしはこのブログをみていただいた方が、私の取り上げた展覧会に行った場合に、展示されたアートとの出会いの感動の邪魔はしたくない、と思っています。なので具体的な展示作品についてはなるだけ取り上げないようにしています。しかし今回は、足を運んだ2020年8月10(月)がギャラリー最終日でしたので、このブログをアップするころには、ギャラリーは閉幕していますのでその心配がありません。
そういうことで、今回は、他では見られにくい作品を中心に個々の作品について、レポートしてきたいと思います。「OKETA Collection」は毎年開かれているそうですから、今回紹介したアート作品を次回、次々回の夏に出合えるかもしれません。
ロッカク・アヤコ 2019『untitle』
鮮やかで愛らしい女のこのファンタジーが凝縮したかのような世界観の一枚。抽象画のなかにファンシーさが感じられました。
ルビー・ネッリ 壺のような感じのオブジェクト
複数女性のフォルムによって生み出された壺のようなもの。女性が裸体がいっぱいくっついて一つのオブジェクトが出来上がっていました。どこかスペイン風の面持ちの裸体女性はデフォルメがしっかりされていて、卑猥なグロテスクな感じはせず、むしろなんかエロいというよりユーモアよりの「なんだこれは感」が味わえました。
ゲルハルト・リヒター2015『abstraction painting』
今では、市民権を得た抽象画、一見乱雑に見えるこのジャンルは色彩のセンスがもろに出ると同時に、名作は意外と混沌と見えるキャンバスの中に構成がある(作家が意図しようがしましが)とわたしは思っています。この作品は名前のとおり「ザ・抽象画」でありながら、美しく同時に構成の中にしっかりと知性も感じ取れる作品でした。
フュー・チック(テックだったらごめんなさい)2019 セラミック
これはセラミックのオブジェクト。性格が悪そうな重厚な金属地球外生命といった佇まい。なのに、とてもコミカルなんです。動きがないのにコミカルとはおかしいかもしれませんが、コミカルに動きそうなユーモアが感じ取れたわけです。時の経過かそれとも作為的か、セラミックの銀白色の光沢に鈍い幅をもった白い筋がいっていました。それが彼の魅力をむしろ増していたのです。コミカルに哀愁が加わった彼はもはや、金属地球外生命などではなく心をもった人間のよう。そういう人の心がフュー・チックによって込められているように感じました。
名和晃平 2017 ミクスト メディア 『fix cell -deer #48』
きれいな透明の大小さまざまな球体によって絶妙のバランスで塑像されてされたあーと。素直に美しいと思いました。一瞥はすごいきれい、眺めると神秘的な美しさを放っている。しばらく鑑賞し続けていると、みてはいけないような畏怖の念に似た怖さ感じる、といった重層的な感想をもちました。球体を除くと反対側の景色がたわみんでうえに上下が反転して見え、球体がくっついている鹿の型らには生々しい鹿の体毛らしきものが見える。鹿が透明な球体に包まれているのですが、鹿をが意思をもった透明な球体に乗っ取られているようにも見ることができます。わたしは原美術館でこのシリーズの小さい作品をみましたが小さいと愛らしい出先のお土産といった感じだったのが、作家のモチーフはこの大きめのこの#48のほうに表れているように思いました。この作品だけでも「展覧会にいったんだ」という満足が得られました。
以上、「OKETA COLLECTION: A NEW DECADE」展についてでした。おつきあいありがとうございました。
<展覧会概要>
「OKETA COLLECTION: A NEW DECADE」展
[会場]スパイラルガーデン (東京都港区南青山5-6-23 スパイラル1F)
[会期]2020年7月23日(木・祝)~ 8月10日(月・祝)<休館日なし>
[主催]OKETA COLLECTION
[キュレーター]児島やよい