ロンドン ナショナル ギャラリー~オランダ絵画と黒歴史~

ロンドンナショナルギャラリー展の入口風景

オランダ絵画の黄金時代 編

@国立西洋美術館

こんにちは、matsumoto takuya です。今回は国立西洋美術館で開催されている「ロンドン・ナショナル・ギャラリー 展」をとりあげます。

言わずと知れた、イギリス国立美術館の至宝が惜しげもなく地球の反対側の日本でお目にかかれる機会はお本当に貴重です。飛行機で行けばロンドンまで見にけば往復十数万+α(宿泊費云々)はくだらないこのギャラリーが1700円で鑑賞できる。訳100分の1です。行かない手はありません。

「ロンドン・ナショナル・ギャラリー 展」公式サイト

この展覧会の至宝クラスの作品群は内容がとても豊富なので内容を分割して書いていきます。今回はロンドン・ナショナル・ギャラリー展のなかでオランダ絵画時代について書いていきます

空は時空を超える

話がかなり飛びますが、わたしは一時期、江戸川のサイクリングロードを毎日自転車で走っていました。ロードバイクなんてかっこいいものではありません。ママチャリです。当時私は、打ち込むものはないかと探し始めた時期で、とりあえずよく聞く自転車に安易に飛びついたのです。案の定、ハマることなく終わりました。このあいだ費やした時間(3ヶ月もの間)はなんだったのか。と軽く失望したことを思い出します。

しかし、あの黒歴史はけっして無駄ではなかったことがロンドン・ナショナル・ギャラリー 展に足を運んだことでわかりました。

オランダ絵画の時代は、それまでになかったジャンルの絵が作成されたという特徴があります。そのなかに風景画があります。「オランダ絵画黄金の時代」の風景画は純粋な古典的絵画の技巧が結実したかのような美しさがあるのですが、その後の印象派、表現主義、抽象画といった個性・創造性が高い絵画に比べるとインパクトがどうしても弱いなという印象をわたしは受けます。その点はある意味では当然なことです。

しかし嬉しいことに、私にはオランダ絵画の作家の風景画の個性がわりとはっきりと見てとれたのです。

その理由は、空の描写でした。わたしは上述したように一年近くひたすら江戸川のサイクリングロードをママチャリで漕いでいました。チャリを漕ぐ以外はiPhoneから流れる音楽くらいしか娯楽がなかった私の頭上にはいつも空がありました。わたしにとってチャリ自体特段はまっていたわけでもなく、しかも一人でこいでいた私にとって、一日一日、刻一刻ちがう空模様は楽しみであり慰めそのものでした。このあいだ、わたしは空模様と一年近くを見てきたともいえます。

空模様といえども馬鹿にはできなくて、ある日、ある一刻、ある瞬間に見せる空模様はこの世のものとは思えない美しい表情をみせてくれます。

江戸川の空、美しい写真
江戸川上空:matsumoto takuya撮影

わたしがオランダ絵画の個性を見分けられる、なんて大それたことをいったのは、そのオランダ絵画の中に描かれるそれぞれのの空模様をよく知っていたからです。

バロック絵画の典型のような理想化と壮麗な画面構成はないかわりに、画家たちが自ら気に入った風景を実際の視点から描くことは必然的に画面構成の中で空の比重が高まりますし、空模様はわずかな違いで表情が大きく変わるものです。つまり、オランダ絵画全盛の時代の風景がは空に画家の想いが現れやすいといってもそこまでおかしい話ではないと私ま思うのです。

どんなに、科学が発展し、生活風景は変われどその上に浮かぶ空は変わらない。わたしたちがふとした時に見上げ、「ああーきれいだなー」なんて思わせてくれるその空模様はかつて美の巨匠が見とれていた空模様と瓜二つであるといったことは大いにあり得る。空は過去、現在、未来の人が時空をこえてつながることができる不思議なチャネル(経路)といえるのではないでしょうか。

人から見れば嘲笑の対象となりがちな「自分探し」の迷走は、それはそれはそれで意味深い贅沢な経験だったのよ、と思わせてくれたロンドン・ナショナル・ギャラリー 展でした。

以上「ロンドン ナショナル ギャラリー~オランダ絵画と黒歴史~」でした。おつきあいありがとうございました。

「ロンドン・ナショナル・ギャラリー 展」

[会場]国立西洋美術館

[会期]2020年6月18日(木)〜10月18日(日)

[開館時間

[]]午前9時30分~午後5時30分
(金曜日、土曜日は午後9時まで)
※入館は閉館の30分前まで*事前予約制

[休館日]月曜日、9月23日
※ただし、9月21日は開館

[主催]
国立西洋美術館、ロンドン・ナショナル・ギャラリー、読売新聞社、日本テレビ放送網

[特別協賛]CANON、大和証券グループ

[協賛]CAO,損保ジャパン、DNP大日本印刷、TOYOYA,MITSUI&CO

[協力]大塚国際美術館、日本航空、ブリティッシュ・カウンシル、西洋美術振興財団

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